脳卒中や脳腫瘍、交通事故などによる脳の損傷が原因で、言語・思考・記憶・認知などの能力に障害の起こった状態をいいます。外見上わかりにくく、周囲から理解されにくいため、本人や家族が日常生活の中で困難を抱えていることが多いと言われています。
脳に損傷を受けた場合に多く出現します。じっくりと仕事に集中できないなどの注意の持続困難、相手の声かけに適切に反応できない等の障害です。
◎身だしなみや周囲への細かな配慮が欠ける。ぼんやりしている。
◎集中力がもたず、疲れやすい。課題や作業を続けていると放棄してしまう。
◎騒音の中で相手の話を聞くことができず、周囲の声に反応してしまう。
例えば・・・
・ぼーっとしてしまう。
・何かをするとミスばかりしてしまう。
・会話や思考にまとまりがなくなる。
・電話をかけながらメモをとることができない。
注意障害と同様に出現する頻度が多い障害です。新しいことの記憶が困難、最近のことが思い出せない、約束ができないなどの障害です。
◎新しいものが覚えられない、すぐ忘れる。
◎日付や日時がわからない。
◎何月何日に何をしたなどのエピソードを思い出せない。
◎予定を思い出せない。
◎食べ物や動物などの名前が思い出せない。
例えば・・・
・同じことを繰り返し質問する。
・作り話でつじつまを合わせようとする。
・同じものを何個も買ってきてしまう。
話す、聞いて理解する、書く、読むことの障害です。
◎言葉の意味が理解できない。
◎他者の話についていけない。
◎うまく話せない。
◎文字が読めない、書けない、計算ができない。
例えば・・・
・お金の支払いや時間で混乱する。
・質問に対する答えが適切でない。
・サインがかけない。
麻痺はないのに、意図した動作や指示された動作ができなくなる、うまく物品を使用できなくなる障害です。
◎模倣動作ができない。うまくいかない。
◎一つの物品を対象とする動作や行為ができない。
◎「物を形作ること」がうまくできない。
◎物品を用いる一連の動作や行為ができない、間違える。
◎服がうまく着られなくなる。服の上下や左右を取り違えたり、裏表を間違えたりする。
例えば・・・
・はさみや歯ブラシなどの日常的な道具をうまく使えない。
・バイバイ、敬礼、キツネなどの動作ができない。
・茶を入れるための一連の動作などができない。順番が入れ違ったりする。
・ひし形や六角形や立方体などの幾何図形がうまく描けなくなったり、絵が下手になったり、文字の形が崩れたり、積み木をうまく作れない。
地理や場所がわからなくなる障害です。
例えば・・・
・よく知った道順であるにも関わらず、道で迷ってしまう。
・目的地にたどり着けない。
自分の行動や感情をコントロールすることがうまくできなくなる障害です。
例えば・・・
・怒りやすくなる、暴言、暴力
・一つのことにこだわりやすい。
・感情をおもてに出しやすい。
・約束を守った行動ができない。
障害の種類や障害の程度、個人の能力により対応方法をかえる必要があります。多くの方で環境調整や代償手段を使用する必要がある場合が多いです。
環境調整としては(一例)・・・
・静かな場所で、気が散らないようにする。
・十分な休憩時間を設定する。
・作業を単純化し、一つずつ次に進める。
・悪い点を減らすよりも、良い点を見つけて活用する。
代償手段としては(一例)・・・
・メモやアラーム、携帯電話を使用する。
・手順書を提示し、やり方をわかりやすくする。
・長く話さず、短くわかりやすく伝える。
*代償手段を使用するためには、本人の意欲や意思が必要になりますが、本人が困っていないことが多いので注意が必要です。また、大丈夫とのお話が多い場合は、大丈夫ではないことが多くみられるように感じます。困っていることを聞く際には、具体的に細かく聞き取りをする必要があると思われます。
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